「きっかけは、実利でもいい」
不要になった電子機器で、日本の子どもたちの未来をつくる。
中古の電子機器をリユース・リサイクルして、新たに生まれた収益を社会に還元する「こども支援プロジェクト」。その取り組みの一環として3keysへの寄付を続けてくださっているピープルポート株式会社の代表・青山明弘さんにお話を伺いました。明るく気さくな印象の青山さん。しかし「すべての子どもに選択肢を」と語る姿に、社会を変えていこうという強い意志と熱意を感じました。
最初に、御社の事業内容や事業目的を教えていただけますか。
回収を希望する企業や団体、個人の方から中古の電子機器を引き取り、リユース・リサイクルすることで、日本にいる難民の雇用創出や、日本語学習の場の提供などをしています。日本の難民申請者は約2万人(2017年)です。しかし日本語はかなり習得が難しく、働き口もなかなかありません。彼らが安心して働ける、かつ居場所を得られるような場所を作ろうと思いこの事業を始めました。
電子機器の基盤の表記は、アルファベットや数字が主なので、日本語がわからなくても働くことができます。同時に、日本語教室などを企画し彼らの「居場所づくり」を行っています。
中古電子機器を提供した企業や団体、個人の方が買取金を受け取る代わりに、そのお金を3Keysのような支援団体に寄付できる仕組み(=こども支援プロジェクト)にも取り組んでいらっしゃいます。このプロジェクトを始めたきっかけは、何だったのでしょうか?
→ こども支援プロジェクトの詳細はこちら
最初は単純に買い取ったお金をお支払いしようと思っていました。ところがいろいろな企業様に「買取りします、廃棄コストがかかりません」とお話ししてもあまり喜ばれなくて…。実は中古1台1台の買取金額はそれほど高くないので、合計でも数千・数万円にしかならず、「貰えるのはいいけど、そんなに嬉しくないかな」という声をいただいていました。
「なるほど」と思いました。企業様にとっては、不用品を0円で引き取ってくれるのであれば、それで全然問題ないのだと気づきました。であれば、買取金をもっと必要としている人たちに届けられないかと思ったのが「こども支援プロジェクト」を始めたきっかけです。
買取金の使い方に着目されたのですね。
はい、それで支援先として考えたのが「教育」でした。私も子どもが2人いますが、教育は、向き合えば向き合うほどその子たちの人生に深く影響するものだと感じています。まして今日本では教育にお金がかかりますから、かけられるお金次第で、その子のチャンスが左右されてしまう。
サポートできる大人がいなくて厳しい状況になってしまうことは、とても辛いと思いました。すべての子どもに選択肢を持ってもらいたいと、子どもたちのサポートをしている団体様を買取金の寄付先に選びました。
ありがとうございます。3keysを選んでいただいた理由をお伺いしてもよろしいですか。
理由は2つあります。1つ目はMex(ミークス)など、子どもたちへのアプローチの仕方がユニークだなと思ったこと。
→ Mex(ミークス)についてはこちら
私もスタートアップをやっているのでわかるのですが、活動を大きくしていくために資金調達に手を回さないといけないけれど、それがなかなかきつい…。なので、発想としては素晴らしいけれど比較的新しく、これから資金調達をしなくてはいけない、という段階の団体様を選ばせていただきました。
もう1つ重要だったのは、これから将来的にパートナーとしてやらせていただく上で、強いビジョンをもっていて、自分たちでなんとかしていく覚悟をもった団体様であるかということ。その2点で選ばせていただきました。
「こども支援プロジェクト」を始めて、周りの反応は変わりましたか?
はい、変わりました。まず全く3keysを知らないでお問い合わせをいただいた方は(こども支援プロジェクトを知ると)本当に喜んでくださいます。回収希望のご連絡をいただいたときに弊社を選んでいただいた理由を伺うと、「素敵な取り組みをしているから」という方が多いです。
もちろん、労働者を雇って賃金を払うという企業活動も社会貢献なのですが、プラスアルファ何か社会に役立つことしたいと思っている企業様が、弊社を見つけてくださって「こういう取り組みがあるのですね」と言ってくださいます。「コストなく取り組みに参加できるのはすごく嬉しい」とか、「安く電子機器を引き渡せるところを探していたけれど、社会のために役に立っていると感じて本当に嬉しい」などの声もいただいています。
もともと3keysを知っている方は、「なんとか寄付の額を増やしたい」と、社員の方、スタッフの方のご家庭からも集めていただいたこともあります。ご自宅に眠っている機械とか「だったら持ってくるぜ」と、皆さん持ってきてくださいます。我々としてもありがたいです。
普段の生活の中でも、何かしたいと思っていらっしゃる方は多いのですね。
はい、多いと思います。SDGsの取り組みも注目を集め始めていますので。でも忙しいですし、やり方がわからない。そこでたまたま我々を見つけていただけて、ちょうどいいじゃん!という感じですかね。
3keysとの取り組みもきっかけとなって、御社にもいろいろな資源が回ってくる可能性があると。
はい、そうですね。一緒に大きくなっていけたらなと思います。企業様にとって「お金を払わず無料で回収してもらえる」というのは「実利」なんですね。でもそれをきっかけに、子どもたちを支援できる。今まで忙しかったり、支援の仕方がわからなかった方も、ファーストステップとして参加いただけると思っています。そうして1回したことは、次々つながっていくと。回収をお申込みいただく方のうち「こども支援プロジェクト」を知らなかった方は8割と多いのですが、逆にチャンスだと思っています。
今後はリユース・リサイクル事業を、もっと一般家庭に広めていきたいと思っています。家庭にはざっと弊社試算で、中古の電子機器が3億台くらい、携帯だけでも1億台が眠っている計算になります。それを掘り起こして、その台数をこの取り組みにのせると、寄付できる金額も跳ね上がりますし、難民申請をされている方の雇用人数も増やせます。
今も家庭からの回収依頼をお受けしていますが、すごくいい反応があります。何も知らずに持ってきてくださった人が、寄付できるのを知って「一石二鳥で嬉しいわ」という声もいただきます。企業様と同じで、いい意味での「驚き」を示していただけています。
みんながハッピーになるような輪になりつつあるのですね。
では最後に、これから支援を考えている方に対して、メッセージをいただけますか。
私も大学生の時にボランティアをしていましたが、最初のきっかけって、かなり勇気がいることではないでしょうか。ただ、1歩目として、我々は「実利」と言いますが、「捨てるのにお金がかかるものを、無料で引き渡せる」というきっかけで、社会のための活動ができる。1歩を意識しないくらいの感じで、実は踏み出していたということが、この取り組みの特徴なのではないかと思っています。
それが入り口でもいいです。そこで3keysさんの活動を知ってもらって、今の世の中のことに関心をもってもらうことが非常に大事なことだと思います。
本当にそうですね。本日はお話、ありがとうございました!
「最終的に我々の目指しているところは、一言で言うと多文化共生。どんな境遇、バックグランドであろうが、それぞれ個性を発揮して、避難先であろうと自分の人生を歩めるようにしたいと思っている」と力強く語る青山さん。電子機器のリユース・リサイクルだけではなく、将来はいろいろな事業体をもって支援の幅を広げていきたいと語ってくださいました。不要になった電子機器で、子どもたちと難民の未来をつくる「こども支援プロジェクト」、本当に素敵な取り組みだと感じました。(取材:山口智子)
認定NPO法人3keysは、虐待や貧困・家庭環境などが原因で、頼ることができる大人が少ない・いない子どもたちに、必要だけれども不足している支援やサービスを提供しています。それらを継続するためには、みなさまからのご協力・ご支援が欠かせません。ぜひご協力のほどよろしくお願いいたします。 → 子ども支援プロジェクトの詳細・お申し込みはこちら(個人でのお申し込みはこちらから) → 3keysへご寄付のお申し込みはこちら
ピープルポート株式会社
ご不要になったパソコンやOA機器の無料回収を行い、機器の種類や台数に応じて3keysに買取金を支援する取り組みを行っています。(※お申し込みの際、3keysに寄付するとお伝えください)会社の移転やCSR活動などでご不要のOA機器を集め、子どもたちへの支援に変える取り組みに、ぜひご協力をお願いいたします!
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