Mex(ミークス)が東京版として誕生したのが2016年。全国版になったのが2017年。虐待で児童養護施設などに保護される子どもたちと出会う中で、何年も深刻な虐待を受けながらも、誰にも気づいてもらえず、NPOや支援機関のことも知らず、自分が受けてきたものが虐待だとすら知らずに育ってきた子どもたちの多さに愕然としました。
他のNPOや支援者と話すと「親や先生にすら頼れない、一番困ってる子どもが一番私たちにつながりづらい」と口を揃えていう現状に、いてもたってもいられず、Mex(ミークス)を立ち上げてからもう3年以上が経ちます。その間、孤立している子ほど適切な機関にたどり着けるように、日々リニューアルを重ねてきました。
ネットの恩恵は、大人だけが受けられればよいのか?
インターネットやSNSの発展で、大人の社会は格段に便利になりました。一方で、そういった子どもたちに助け舟になりうる支援機関は、現場や電話相談がメインで、ネットでは見つけづらく、相談しづらい状況があります。
ネットで検索をしても、多くの場合、広告や広報にお金をかけている営利のサービスや大人向けの記事の方が先に見つかり、一番困っている子どもたちのためのネット環境は保障されていない現状があります。Mex(ミークス)の利用から見える、子どもが一人で抱えている悩みはどれも大変深刻なものが多く、中には自殺願望につながっているものも大変多い状況です。
開設4年目、10代の10人に1人はMex(ミークス)を利用する?
2019年度、Mex(ミークス)は100万人の利用になりそうです。利用者の7~9割が10代以下という中、70~90万人の10代がMex(ミークス)を利用したことになります。日本全国の10~19歳が1,000万人なので、もうすぐ10人に1人がMex(ミークス)を利用した計算になります。大人よりもネットの方を信用する子どもたちをたくさん見てきた中で、子どもたちのニーズはある程度想定していましたが、私たちの予測以上に利用率が伸びています。
地方部ほど少ない相談先や、ニーズの多い深夜の対応をどう増やしていくか
子どもたちの利用手段の多くはメールやLINEですが、支援側(特に行政サービス)は電話がメインとなっています。利用時間も部活等が終わった後の21時台が多いのに対して、それに応えられる支援機関は多くありません。他にも、住んでいるエリアによって相談窓口の受け皿も大幅に異なります。
ここ数年、北海道・関西・九州などの中心都市で子どものニーズの啓発や広報をしたり、長年地域に根差して活動している支援機関とのネットワーク強化や、行政への働きかけなども努めています。Mex(ミークス)に適切な窓口を掲載し、子どもたちにつなぐだけでなく、子どもの適切な受け皿不足を解消するための動きもとっていく必要性も感じています。
Mex(ミークス)を利用する子どもたちの多くは、誰にも相談できず、やっとの思いでサイトにたどりついたケースも少なくありません。そんな子どもたちがもう一度大人や社会を信用できるためにも、支援者側が提供しやすいものだけでなく、子どもたちが安心して利用できる体制は急務です。Mex(ミークス)が子どもたちにとって信用できるセーフティネットになれるよう、ぜひご協力をお願いいたします。
※こちらの記事は、2020年1月に寄付者の方々に郵送させていただいた活動レポートを編集して作成しました。寄付者のみなさまには、活動報告をまとめた毎月のメールマガジンの配信や、年次報告書・領収証などを郵送させていただきます。また、認定NPO法人である3keysへのご寄付は税控除の対象となり、寄付額の最大50%が還付されます。マンスリーサポーターが増えることは、3keysが安定的に支援できるキャパシティを増やしていくことにつながります。社会全体で子どもたちを支えるために、ぜひご支援をお願いいたします。https://3keys.jp/donation/supporter