NPOへの寄付と控除の仕組み
一定のNPO法人などに寄付をすることで、納めた税金の一部が戻ってきたり、納める税金が安くなったりすることがあるのをご存じでしょうか。 この仕組みのことを「寄付金控除」と呼びます。多くの方が利用している生命保険料控除などと同じく、所得税の計算の際に寄付した金額の一定割合が控除される仕組みです。
実は、寄付金控除が適用されるNPO法人は一部に限られています。寄付金控除の対象となるのは、3keysをはじめとする「認定NPO法人」と呼ばれるNPO法人への寄付だけなのです。もし寄付金控除を利用したいのであれば、認定NPO法人を選択することになります。
全国で約5万あるNPO法人のうち、認定NPO法人は約1200法人と、2%程度に留まります。この認定NPO法人は、通常のNPO法人とは別に所轄庁の認定審査を受けて合格した法人だけが名乗ることができます。認定になる難しさは、また別の機会にご紹介します。
寄付金控除の計算方法
では、実際に認定NPO法人に寄付した場合、寄付金控除を利用するとどれくらい税金が変わるのか具体的に見ていきましょう。
寄付金控除には、寄付した金額から2,000円を差し引いた金額の40%を所得税から直接値引くことができる【税額控除】と、寄付した金額から2,000円を差し引いた金額を所得金額から引くことができる【所得控除】があり、有利な税制優遇を選ぶことができます。
高額所得者や年間の寄付金額が大きい方は所得控除が有利になる場合がありますが、多くの場合は 【税額控除】を選択したほうが断然お得です。
基本の計算方法は以下のとおりです。
所得税の控除に加え、お住まいの都道府県・市区町村によっては、住民税から最大10%が控除される場合があります。住民税からの控除が適用されるかどうかなど、詳しくは各自治体に確認してください。
上記の計算式に具体的な数値を入れて計算してみると、下の表のとおりになります。
所得税率は所得金額により異なり、税率が45%まで上がると所得控除の効果が高くなることが分かります。国税庁のホームページによると、課税される所得金額が1,800万円以上で税率40%、4,000万円以上で45%になります。つまり課税所得金額が4,000万円を超えると、所得控除の方がお得になります。
ただし、実際の税額は他の様々な控除を経て算出されるため、寄付金額が高額な場合などには、寄付金による税額控除額が限度である25%を超過する可能性が高くなります。そうした場合、税額控除の効果を最大限利用できないことになるので注意が必要です。
まとめ
・「税額控除」では、最大で寄付金額の50%が減税される。
・所得税は必ず減税。住民税は減税となる場合がある。
1点注意が必要なことは、寄付金控除を受けるためには、確定申告(還付申告)が必要だということです。
寄付金控除を受ける手続き
では、具体的に寄付金控除の適用を受ける場合、どのような手続きが必要か確認していきましょう。
1.寄付金受領証明書の保管
認定NPO法人へ寄付をおこなうと、団体から「寄付金受領証明書」が送付されてきます。団体によって、寄付受領後すぐに送付される場合もあれば、毎年1月に1年間分まとめて送付される場合もあります。いずれの場合でも、寄付金受領証明書を確定申告まで大切に保管してください。
2.確定申告をおこなう
寄付金控除の適用を受けるためには、確定申告をおこなう必要があります。年末調整ではできませんのでご注意ください。給与所得者の場合、確定申告をおこなっていない方も多いため、ここで断念してしまう方もいらっしゃいます。しかし、寄付金控除を受けるだけであれば決して難しくありません。
給与所得者の方が寄付金控除のためだけに確定申告するのであれば、以下の方法が手軽でお勧めです。
①国税庁サイトの確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成
②印刷して寄付金受領証明書と一緒に税務署へ郵送
国税庁のサイトと聞くと難しそうなイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、この方法なら源泉徴収票の数字と寄付金額や寄付先などを入力するだけで、すぐにPDFで申告書が作成できます。後はそれを印刷して郵送するだけですので、パソコンとプリンターさえあれば、WordやExcelも必要ありません。ぜひ、一度お試しください。
なお、確定申告は毎年2月16日から3月15日と期間が決まっていますので、遅れないようご注意ください。
3.納付または還付
年末調整を受けた給与所得者の場合、確定申告をおこなうと年末調整後の所得に寄付金控除が適用されますので、基本的に所得税から還付が発生します。確定申告の際に指定した口座に振り込まれますので、後は待つだけです。個人事業主の方などは寄付金控除の分、納付する所得税が低くなります。
寄付と確定申告の際の注意点
1.クレジットカード決済の寄付
寄付金控除を受ける上で特に注意が必要なのが、クレジットカードやコンビニ決済での寄付の場合です。寄付金受領証明書に記載される寄付日は、団体にお金が実際に入金された日となります。例えばクレジットカード決済の場合には、決済をした日から2か月程度後に団体へ入金されますので、12月に決済をした場合、翌年の1月や2月が寄付日の寄付金受領証明書が発行されます。そのため、年末にその年の所得の申告で寄付金控除を利用したい場合には、クレジットカード決済ではなく銀行振り込みなど、すぐに団体に入金できる方法を選択してください。
2.ポイントを利用した寄付
昨今はポイントサービスも各種充実しています。ポイントサービスによっては、このポイントを用いて寄付をすることができます。寄付にハードルを感じる方は、まずはポイントを使って寄付する方法もおすすめです。ただし、ポイントの寄付の場合、寄付金控除の対象とならないこともあるため、サービスの利用規約などをご確認ください。
3.確定申告書の記入欄に注意
確定申告の際、税額控除と所得控除の場合では申告書の記入欄が異なるので、注意が必要です。税額控除の場合は「政党等寄附金等特別控除」の欄に、所得控除の場合は「寄附金控除」の欄に記入してください。
※国税庁のサイトから確定申告書を作成される場合は、寄付先と寄付額を入力すれば、自動的に税額控除か所得控除に割り振られます。
なお、3keysでは新宿区のふるさと納税を利用して寄付していただくことも可能です。この場合は、他のふるさと納税と同じように2,000円を引いた金額のほとんどが控除されますので、ご興味のある方は下記新宿区のホームページをご覧ください。