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スクールカウンセラーとは?〜増加する教員以外の専門家の役割と現状

滞在時間の短いカウンセラーはどれくらい機能できるのか

学校での様々な困りごと、悩みごとなどについて子どもの相談にのるスクールカウンセラー(以下SC)という職業があります。子どもだけでなくその保護者や、教員に対しても面談することがあります。SCの活用状況は学校や地域などによって様々ですが、曜日と時間を決めて週に数日程度、非常勤の形で学校にいるという形が多いです。

子どもの精神的なケアの重要性が社会的に認知されるようになり、近年学校への配置も増えてきました。文部科学省の学校保健統計調査によると、SCを「配置していない」という学校は2006年度には小学校で7割、中学校で2割、高校で5割を超えていましたが、2019年度には8〜9割以上の学校が配置するようになりました。

スクールカウンセラーの配置状況
*出典1

ただ学校に配置されている時間を見ると、中学校以外では週に4時間未満または不定期の割合が高くなっています。SCは非常勤が多いため、子どもからは「SCがいるかどうかさえ知らない」「SCの顔や名前を知らない」といった声もあります。
以下は週4時間配置されている例を図にしたものになります。ほとんどの時間はSCが学校にいないということがわかるかと思います。

スクールカウンセラーの配置状況例

次に、SCになるのに特別な資格は要りませんが、実際は精神科医や臨床心理士、心理カウンセラーなどが本業の傍らでこなしているケースが多いです。SCは、悩みを抱えた子どもの話をただ聞くだけでなく、必要があれば教員や保護者との面談を持つなど積極的に課題解決に関わることを求められています。しかし1つの複雑な事例に多くの時間を割くと、SCの勤務時間が限られている以上、非常に限られた人数にしか対応ができなくなる懸念もあります。このため、SCがいたとしても、学校内で発生したいじめや不登校などの案件に対して、すべて単独でカウンセリングをし、解消につなげるということは現実的ではありません。実際には面談を通じて相談者の心理的負担を和らげるほかに、必要があれば外部の支援機関や相談窓口につなぐ役割を果たすことになります。

自死の願望のある生徒のための活用事例
*出典2

上記の例もそうですが、学校にあまりいないSCは相談窓口としての問題の発見機能を果たすことは難しい実情があります。一方で、専門スキルを持った人材であれば、養護教諭(いわゆる保健室の先生)では対応しきれない心理的ケアなどをこなすことが期待できます。一部の学校では、決まった時期に学年全員に対してSCが面談をするなどして、子どもがSCに話しやすい環境を作る試みもあります。
配置が進んできたとはいえ、子どもからするとSCに相談しやすい環境が整っているとは言いきれません。ただ担任や養護教諭などとの情報共有が適切に行われれば、これまで見過ごしていた課題により適切に向き合える可能性が高まると言えます。

スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの違い

 

スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの違い
*出典3

SCとは別に、近年はスクールソーシャルワーカー(以下SSW)という仕事も注目されるようになってきました。SCとの最も大きな違いは、SCが心理的な負担などの軽減に重きを置いた医療的対応のスキルが求められるとすれば、SSWは福祉の専門家ということです。社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持って活動する人がほとんどで、不登校やいじめ、虐待などの学校をとりまく諸問題に対して、必要な機関などとも連携しながら、より積極的に課題が発生した原因の解消などに取り組むことになります。

ソーシャルワークという考え方は、もともと児童労働が社会問題化したアメリカで確立しました。個人に起きている問題を「社会の仕組みのひずみ」としてとらえ、機能不全を起こしている社会の仕組みなどが適切に動くように働きかけることです。今では日本でも広く幅広い福祉の現場で取り入れられています。学校現場に限らず、社会でソーシャルワーカーとして働く人は、日本ソーシャルワーク教育学校連盟(東京・港)によれば日本に30万人いるとされます。

SSWは主に地域の教育委員会や市町村に所属し、各学校に派遣・配置されます。学校関係者や医療機関、児童福祉施設など、個別のケースに必要な専門家などが連携して対応できる状況を作るのがSSW の大きな役割です。ただ「連携して」と言葉にするのは簡単ですが、専門家同士で意見が違ったり、落ち度を指摘されることを敬遠する担当者が積極的に会議に参加しなかったり、ということもあります。個別のケースに応じて必要なチームを作り、対応にあたることは決して簡単ではありません。

不登校生徒を支援するための活用事例
*出典4

SCもSSWも学校内で起きる問題の解決を教員だけに任せず、地域や第三者、専門家の意見を踏まえながら解決していこうという流れの中にあります。学校現場はともすれば「閉鎖的」「問題を隠蔽しがち」と見られがちなうえ、教員も授業以外の負担が重い現状があります。子どもの学力の向上も含めた、どんな社会的機能を学校に求めるのか。そしてその役割は教員だけが担うべきものなのかは、引き続き議論が求められます。

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