認定NPO法人3keys(スリーキーズ)

外国人の子どもは学校に行けてない?〜2万人が不就学の可能性

2万人の外国人の子どもが不就学?

2020年、文部科学省は初めて実施した「外国人の子どもの就学状況等調査」の結果(確報値)を公表しました。それによると2019年5月現在、日本国籍を持たない人(日本国籍との二重国籍者は含まない、以下外国人と表記)で年齢が小中学生相当の子どもは住民基本台帳ベースで日本に約12万人いました。しかし1万9471人については、就学状況が確認できないなどの理由で「不就学である可能性がある」と明らかになったのです。

外国人の子どもの就学状況
出典1*

法律上、外国人の子どもには日本国内の義務教育への就学義務はありません。しかし、国際人権規約などの主旨から、日本人と同等の教育を受ける機会を提供することとされています。ただ義務がないために、教育委員会などが状況把握の対象としていないケースが多く、どういった状況なのかがつかめていないのが実情です。

就学についてのサポート体制も足りない

住民基本台帳制度の変更で、2012年から3ヶ月以上の在留をする外国人も同台帳に登録されることになりました。ただ上記の就学状況に関わる文部科学省の調査では、外国人が住民登録をする際に、15.7%の自治体が就学に関わる説明をしていないことが明らかになりました。

外国人が住民登録を行うとき、就学の説明を行う地方公共団体
出典2*

また配布する就学に関するガイドブックや案内資料の記載言語については、英語が67%、中国語が57%で、その他の言語は半分未満でした。地域の実情があるため、全国規模で100%である必要はありません。ただ、英語でさえ3分の1は記載がなく、記載言語が日本語のみという自治体も26%あります。就学に関する説明がないケースを含めて、情報提供の不備が外国人の子どもの不就学につながっている可能性があります。

就学の案内に関する資料の記載言語
出典3*
就学案内資料の対応言語数
出典4*

5万人の日本語指導が必要な子どもの教育保障

国内人口の減少が続く中で、日本は働き手の確保のため外国人労働者の受け入れを拡大する方針です。日本に暮らす外国人人口は2020年1月1日時点で287万人と、過去最高を更新しました。2021年は新型コロナウイルスの影響で減少が見込まれていますが、外国人技能実習生や、新たな在留資格である「特定技能」などでの増加が今後も見込まれています。

こうした中で不就学とともに問題となるのが、日本語指導をはじめとする特別な対応が必要となる子どもの増加です。全国の公立小中高校、特別支援学校などを対象とした文部科学省の「日本語指導が必要な児童生徒の受け入れ状況等に関する調査」(2018年度)によると、国籍を問わず日本語の指導が必要な児童生徒の数は5万1126人でした。2年前の前回調査から16%増えており。その8割は外国籍の児童生徒ですが、2割は日本国籍を持っています。日本国籍があっても、親の一方が外国籍であり家庭内で主に使う言葉が外国語というケースなどで日本語指導が必要な子どもは増えています。

公立学校における日本語指導が必要な児童生徒数の推移
出典5*

こうした子どものうち、実際に日本語指導などの必要な指導を受けられている割合はおよそ7〜8割です。裏を返せば2〜3割は必要な指導が受けられていないということになります。この調査は学校を対象にしていますので、不就学でなく学校に通っていてもこの割合だということになります。

日本語指導が必要な外国人の子どもの母語の内訳を見てみます。最も多いのはポルトガル語で、続いて中国語、フィリピノ語と続きます。

日本語指導が必要な外国人の児童生徒の母語別在籍状況
出典6*

ポルトガル語が多いのは、1990年代、日本工業の国際競争力が非常に強かった時に、入管法の改正で日系2・3世とその家族に就労制限のない在留資格でビザを発給することになったことが影響しています。歴史的に日本からの移民が多かったブラジルの日系人が日本で働くようになり、定住者も増えました。北関東で工場のある市町村では住民の7分の1ほどが外国人という自治体もあります。

フィリピノ語は、特に日本国籍はあるが、日本語の指導が必要な子どもが母語としているケースが多いです。日本に出稼ぎに来たフィリピン人女性が日本人との間に子どもをもうけ、その後母子家庭となるといった状況が多いとみられます。

日本語指導が必要な子どもが在籍する学校数は、外国人の子どもが約7800校、日本人の子どもで約3700校あります。各自治体や教育委員会は日本語指導の担当教員を必要に応じて配置していますが、多様な言語に対応できる人材を必要なだけ揃えるのは難しく、様々な地域で欠員が生じている状況だと指摘されています。学校が日本語指導できないために、外国人の子どもを受け入れられなかったり、子どもが転校したりといったことも実際に起きています。

小学校では、1人30〜40人を受け持つ通常学級でも、なり手不足が指摘される状況にあります。日本で暮らす外国人が増えれば、それだけ日本語指導のニーズも高まることになり、指導者の確保は非常に難しい問題です。

また、日本語指導が必要な高校生の進路では、中途退学率は全体平均の7.4倍、進学も就職もしない率は2.7倍高くなっています。子どもが大きくなればなるほど言語のハンデも大きくなるため、難しいからといって指導の充実を放棄するわけにもいきません。

日本語学習者の増加に伴い、国も指導者の養成や日本で暮らす外国人の子どもとその保護者に対する支援体制の充実に取り組んでいます。日本社会で存在感を増している外国人との共生は、不就学の解消も含め、子どもの教育環境の整備無くしては実現しません。

 

※今回、本文中に出てくる言葉は以下のような定義で使用させていただいております。
・子ども:在学有無にかかわらないおおよそ18歳未満の者
・児童生徒:小学校・中学校・高校に在学している子ども
・外国人:日本国籍を持たない者(日本国籍との二重国籍も含まない)
・日本人:日本国籍を持つ者

 

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